「死者の魂、叶わぬ恋、荒れ狂う自然・・・」人々に降りかかる災厄を音楽でなだめ、在るべき姿に戻す楽人の物語
光原百合さん『銀の犬』をご紹介します
あらすじ
人々に降りかかる災厄を打ち払う「祓いの楽人」オシアン。
その名は伝説の祓いの楽人と同じであり、その人間離れした音楽の才を妖精の女王二アヴに愛され、妖精の間にしか伝わらないはずの数々の歌を全て口伝えに授けられたとされる人物だった。
オシアンは、相棒のブランと共に世界中を旅し、この世に未練を残した魂や悪鬼、「愛を歌うもの(ガンコナー)」たちを、彼の竪琴が奏でる調べで救っていく・・・
ケルト民話と著者の独特の世界観が作り上げる、切なく、悲しいファンタジーミステリー。(解説・小原孝)
美しくも切ない世界
ケルト民話に基づいた5つの物語。
◯ 声なき楽人
◯ 恋を歌うもの
◯ 水底の街
◯ 銀の犬
◯ 三つの星
「会えるよ。あの世か、生まれ変わった次の世かは分からない。でもきっと君を見つけてみせる。」
「夢物語に縋りついたのもそのためだった。夢の街イースに行けば、愛する人にもう一度会える。人生をやり直すことができる、と。」
ほんの小さなすれ違いがきっかけで、後悔を残して彷徨っている魂を在るべき場所へ導く楽人。
ケルト民話の幻想的な世界観が、より一層美しくも切ない情景を思い起こさせる。
中でも気に入ったのは、題名にもなっている『銀の犬』
愛情と呪いが生んだ悲劇
固い絆で結ばれた忠犬は、なぜ飼い主を噛み殺したのか。
仔犬の時からリネットに愛された忠犬クー。
秋の夜、満月の蒼い光に満たされた野原で、忠犬は若妻の喉笛を噛み裂いた。
しかし、忠犬の魂は死してなお、野原の隅で何かを守るように彷徨い続けている。
犬は本当むり。涙腺崩壊。
あまり知られていない、宝物の1冊
とっても素敵なこの物語ですが、あまり知名度はありません。
しかし1度読んだらケルト民話の世界に惹きこまれる。
わたしにとって、宝物の1冊です。
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